公的年金には3つの種類があり、いずれかの制度に加入する事が義務づけられています。
その人の働き方により加入する年金制度が決まっています。
障害の原因となった病気や怪我についてはじめて病院にかかった日(これを初診日と言います)に、どの制度に加入していたかで支払われる年金の種類が決まります。
対象者 | 制度 | 障害年金の種類 |
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日本国内に住む20歳から60歳の方で、 厚生年金、共済年金に加入していない方 |
国民年金 | 障害基礎年金 |
厚生年金適用の会社にお勤めの方 | 厚生年金 | 障害厚生年金 |
公務員の方や私立学校の職員の方 | 共済年金 | 障害共済年金 |
障害年金を受けるには以下の3つの要件が問われます。
初診日要件 | 初診日にいずれかの年金制度に加入していたこと ただし、初診日が20歳より前にある場合は、国民年金に加入していたものとみなします |
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保険料納付要件 | 初診日の時点で保険料をきちんと納めていること お勤めの方(厚生年金、共済年金の対象の方は会社・職場が手続きしているのでまず問題ありませんが、国民年金の方はご自分で保険料を納めていたか、が問われます |
障害要件 | 初診日から1年6ヶ月たった日(一部の障害は症状が固まった日)に障害の程度に当てはまること (国民年金は1、2級、厚生年金は1〜3級) 基本的に障害等級表のどこにあてはまるかで決まりますが、測定可能な検査値で決まるものではなく、日常生活の活動にどの程度支障が出ているかでも含めて「総合的に判断」されます また、障害認定日に障害が軽い場合でも、その後重くなったときに障害年金を受けられるようになる事があります |
それぞれの制度から以下の額が受けられます
障害基礎年金 | 平成25年10月分から 1級 973,100円+子の加算 子の加算第1子、第2子 各224,000円 2級 778,500円+子の加算 第3子以降 各 74,600円 (平成25年10月現在) |
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障害厚生年金 | 平成25年10月分から 1級 報酬比例の年金額(*注1)×1.25+配偶者の加給年金額 2級 報酬比例の年金額+配偶者の加給年金額 3級 報酬比例の年金額 *最低補償額583,900円 障害厚生年金1,2級では障害基礎年金もあわせて受けられます
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さまざまな病気によって、大まかに以下のような障害の状態になったとき障害年金が受けられます
1級 | 日常生活に著しい支障があるため、他人の介助を受けないとほとんどの事ができない状態 例:植物状態、両下肢機能全廃、全盲、座位保持不能、高度の認知症 など |
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2級 | 日常生活に制限が必要な程度の状態で、必ずしも他人の介助を必要とはしないが、 一人では日常のごく簡単な作業しかできない状態 例:人工透析、片腕切断、脳梗塞による半身麻痺、言語機能喪失、重度のうつ病 など |
3級 | 働く事が大幅に制限されたり、働く時周りに様々な配慮をしてもらわないと働けない状態 心臓ペースメーカー、人工弁、人工股関節、人工肛門、除痛困難な痛み など |
※上記は、ほんの一例であり、障害等級は障害認定基準に基づき認定されます。
障害の状態にあれば原因となった病気や怪我の種類は問われません。ほとんどすべての病気が対象です。
疾患名としてあげるときりが無いのですが、よくある疾患とそれによる障害の一例をあげます
病名 | 病気により起こる障害 | |
感覚器系 | 白内障、緑内障、網膜色素変性など | 視力低下、視野障害など |
突発性難聴、感音性難聴、頭頸部腫瘍など | 聴力低下など | |
筋骨格系 | 外傷、先天性疾患など | 手足の切断、形成不全など |
脳卒中、脊椎損傷など | 手足の麻痺、姿勢維持困難など | |
関節リウマチ、変形性関節症など | 関節の曲げ伸ばしの機能低下など | |
呼吸・循環系 | 気管支ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患など | 呼吸困難、疲れやすさなど |
心筋梗塞、弁疾患など | 呼吸困難、疲れやすさなど | |
肝臓・腎臓 | B型・C型肝炎、アルコール性肝炎など | 全身倦怠、吐き気・嘔吐など |
慢性腎炎、ネフローゼ症候群など | 人工透析、尿毒症など | |
がん | あらゆる種類のがん | がんそのものまたは抗がん剤の副作用による 全身倦怠、感染しやすさなど |
糖尿病 | 糖尿病性の腎症、網膜症、神経障害など | 各臓器の疾患によりおこる障害 |
精神神経系 | うつ病、統合失調症、発達障害など | 睡眠障害、意欲低下、集中力低下など |
パーキンソン病、筋ジストロフィーなど | 歩行困難、姿勢維持困難など |
実際に、障害年金を受けながら働いている方はたくさんいらっしゃいます。
ただし、重い障害状態になった方が再び働き始めたときからすぐに以前と同じ仕事をフルタイムこなす、というのは難しいことだと思われます。実際は会社が働く時間や業務内容に配慮してくれてその中で、障害のある範囲内でもできる仕事を少しずつこなしていくことから始めると思います。それでもきっと働くという行為で社会ともう一度つながりが持て自信も湧いてくるでしょう。ただし病気のことですので、時に体調が悪くなりまたお休みをもらって休養が必要になったりすることがありますので、この時点ではまだ障害年金に頼る部分は残ると思います。そして、順調に回復してゆき働く時間も長くなって業務内容も複雑になり、お給料も上がってくれば障害年金の役割は終わると思われます。そこまでは障害年金を受けながら働く事も可能です。
国は障害を持った方にも自立に向かって働くことを推奨しています。少しでも働くとすぐ年金がストップするようであれば、障害者の自立を阻害する事になってしまいますので少し仕事をしたからといって、すぐに支給が止まることにはなりません。
年金制度は保険の仕組みであって、国からの施しなどではありません。皆さんが支払った保険料で成り立っているのですから、万一の場合に保険の給付を受けるのは当然の権利です。
一般の生命保険をお考えください、万が一の時のために加入するわけです。その万が一が起きた場合に、保険金が支払われることになったが、プライドにかかわるから貰わない、などという方はいませんね?障害は皆さんにとっての万が一の事態です。堂々と障害年金を受けてください。
障害年金の請求をしたのに、障害年金が認められなかった、思ったより低い等級であったなど不満がある場合は、不服申立てができます。不服申し立ては2段階あって(2審制)、第1段階の不服申立ては地方厚生局の社会保険審査官に対して「審査請求」を行うことができます。その社会保険審査官の決定にもまだ不服がある場合は、第2段階の不服申立てとして社会保険審査会に対する「再審査請求」ができます。なお、社会保険審査会の裁決例の一部は下記URLでご覧になれます。
(社会保険審査会裁決例)
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/shinsa/syakai/04.html
※障害年金の権利は、諦めずに勝ち取ることが大切です。
メリット1 | 障害年金の制度を熟知しているばかりでなく、さまざまな障害状態のどういった場合に どの部分をしっかり伝えるべきか、という「コツ」を知っているのでポイントを外さない申請ができます。 |
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メリット2 | 役所や病院には代理人である社会保険労務士が行くことができるため、 ご本人様やご家族様の時間的・精神的負担を軽減できます。 |
メリット3 | 審査結果に不服がある場合の不服申立ても、社会保険労務士が代理で手続きを行うことができ、 当初の請求から不服申立てまで一連の手続きを任せることができます。 |